買い物に行くと、あれもこれも、どんどん値上がりしていますね。
人件費、輸送費など・・・。
考えると致し方無いのかな、と思ってしまいます。
対して保険料。こちらは安くなったもの、高くなったもの、それぞれ有ります。
保険料は事故率、経費、金利の3つによって決まります。
最近特に値上がりしているのは火災保険です。
ここ10年ほど、各保険会社の支払保険金額は、収入保険料よりも超過、つまり赤字が続いています。
海外のある地域では、「保険会社が火災保険から撤退」なんてニュースもちらほら。
自然災害多発というのが最大の理由です。
また、悪徳修理業者が横行している為、いたずらに損害額が上昇している事も一因です。
ですが、私はそれだけでは無いと思います。
下記2つの「保険料算出の仕組み」が大いに関係していると思います。
1.性善説
2.効率化重視
■性善説
最近わたしは「元損保ジャパン研修生」が契約した火災保険のアフターフォローをしています。
そのほぼ全てが、「ワザと保険料を安くして契約したモノ」でした。
ワザと保険料を安くする?そんなことが可能なの?
やろうと思えば可能です。
保険料計算は再調達価格の算出から始まります。
再調達価格は機械的に算出しますが、実態と乖離があった場合、実態に近づける為、最大3割調整しても良い事になっています。
保険料は再調達価格が低ければ安くなります。
一方、営業マンは、成約率UPの為には、他社よりも保険料が安い方が上げ易いです。
「元損保ジャパン研修生」の契約は、ほぼ全て再調達価額が3割下げられていました。
残念ながら実態とは懸け離れていました。
「元損保ジャパン研修生」の行いは非常に残念ですが、そもそも営業マンの性善説を基準にした仕組みに問題が有ると思います。
■効率化重視
以前は代理店の契約を保険会社がチェックしていました。
いわゆる2重チェックです。
しかし近年、効率化重視の為、契約と契約後処理を営業マン一人が行う風潮になっています。
(弊社では、契約と契約後処理を別の者が行ない、正しい契約が行われているか、チェックしています。)
営業マンが営業成績UPの為に「ワザと保険料を安くして契約したモノ」はすんなりと契約が成立してしまいます。
そして一度契約が成立してしまうと、不備発見は非常に難しくなります。
契約成立後、不備発見のチャンスは通常、次の2つです。
1.事故時
2.満期更改時
それさえ、「正しい契約かどうか確認しよう!」という気構えでやらなければ、発見されずに終わるでしょう。
残念ながら、効率化重視の風潮は事故処理担当官など、全ての保険会社スタッフに浸透しています。
結果、本当よりも「ワザと保険料を安くして契約したモノ」が多くなり、当然、収入保険料よりも支払保険金額が超過し、保険料を上げざるを得ない。というスパイラル現象に陥っています。